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記事: 人間国宝の陶芸を知る

人間国宝の陶芸を知る
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人間国宝の陶芸を知る

人間国宝に認定された陶芸家とその魅力とは

普段よく耳にする「人間国宝」とは、実は通称であることをご存知でしょうか。正式名称は「重要無形文化財保持者」で、これに指定されている者が一般に「人間国宝」と呼ばれています。

「重要無形文化財」の指定制度は、1950年制定の「文化財保護法」に基づき、1954年に確立しました。この制度によって、歴史上または芸術上、特に価値の高い「技」の保持者に対して認定の措置が取られるようになったのです。今回この「重要無形文化財保持者(人間国宝)」のうち、陶芸家について見ていきましょう。

日本の風土と陶芸との関わり

陶芸とはいわゆる“やきもの”を作る技術で、対象となるやきものの種類は、原料が土からできる陶器と石の粉からできる磁器に分けられます。豊かな自然に恵まれた日本では、各地にその土地の特徴を生かしたやきものがあり、その歴史は古く縄文時代まで遡ります。

鎌倉時代には、近畿地方を代表する「信楽窯」や備前・岡山の「備前窯」など全国各地6箇所の窯を総称した「六古窯(ろっこよう)」と呼ばれる優れた窯が発展した。

安土・桃山時代には「茶の湯」を広めた千利休の楽焼などが現れ、独自の発展を遂げ、日本の風土と時代の流れに沿って発達し継承されていきました。そのため、それぞれの地名が付けられたやきものが多く存在します。

関連記事:日本古来から生産が続く6つの窯“六古窯/ろっこよう”とは

重要無形文化財に認定された陶芸家たち

演劇、音楽、工芸技術、その他の無形の文化的所産で我が国にとって歴史上または芸術上価値の高いものを「無形文化財」といいます(文化庁ホームページより)。

無形文化財のなかで重要なものは国に「重要無形文化財」として指定され、そのわざを高度に体現しているものは保持者または保持団体として認定されます。

こうした制度により、国は伝統的なわざの継承を図っているのです。重要無形文化財保持者の認定には以下の通り、「各個認定」「総合認定」「保持団体認定」の3方式があります。

重要無形文化財保持者の認定の方式(出典:文化庁ホームページ)

  • 各個認定:重要無形文化財に指定される芸能を高度に体現できる者または工芸技術を高度に体得している者
  • 総合認定:2人以上の者が一体となって芸能を高度に体現している場合や2人以上の者が共通の特色を有する工芸技術を高度に体得している場合において、これらの者が構成している団体の構成員
  • 保持団体認定:芸能または工芸技術の性格上個人的特色が薄く、かつ、当該芸能または工芸技術を保持する者が多数いる場合において、これらの者が主たる構成員となっている団体

人間国宝の陶芸の世界に触れるには

人間国宝の陶芸家の作品は、その技術の高さから高額で取引される場合が多いですが、市販で購入することも可能で、多くは美術館や展示会などで展示販売されます。

こうした展示販売会は現在国内各地で開催されています。その奥深さを知り、味わいを感じ取るためには、実際の作品に触れて自分の目で味わい、その世界観を知ることが大切なのではないでしょうか。

人間国宝の陶芸を知る

人間国宝の陶芸家による伝統工芸品の数々は、その技術のみを伝えるだけではありません。その作品が生み出された背景にある日本の歴史や風土、それにまつわる人々の生活や文化を伝えているのです。

文:klug@宮本真実

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